たまがる シンパパの日常

父子家庭でアラフィフ

「子育ての大誤解」

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子育て神話に染められた自分の子育てに疑問を投げかけてくれた。
親の願いを聞かなくなったということは、子どもの社会性が育ち始めたということなのでしょう。この社会性は子どもの属する集団で育まれるので関与は難しそうだ。子どもを信じて見守るしかなさそうだ。
後で思い出せるように本書での気になった内容をまとめておく。

1章
 子どもたちが学ぶのは大人の様に行動するなということ。
 社会では大人ぶった(大人のマネをした)子供は生意気とみられる事が多い。

9章 文化を伝える
子供は社会性を自分の友人関係から学んでいく、友人コニュニティはその少し年上の子供コニュニティを参考にする。
 子供の目標は望ましい大人になることではない。子供の目標は子供として認められる事なのだ。

10章 ジェンダー
男女が別れて遊べるぐらいの人数ではジェンダー別のカテゴリーがサリエントする。集団の人数が少ないと、遊び仲間を選べないのでジェンダー別のカテゴリーは消滅するかほぼ無くなる。子供がジェンダーを気にしないで生活するには少人数の学校か少人数制の習い事などが有効らしい。
 娘は自分が男の子になる事に憧れていた(実際に小学校へ入学すると女子トイレに入るのを嫌がって、かといって男子トイレにも入れずいつも我慢していた)のですが、今はその兆候が無くなった用に見えますが、もしその思いを隠して続いている場合の対策になるかも。

11章 子どもたちにとっての学校とは
  学校ではクラスの小集団がサリエントしどちらかが反規則的にならないように先生がリーダーシップを発揮するのが望ましい。
一番簡単な方法はクラス…いや学校外にライバルを作り出すこと。これはスポーツチームでも同じらしい、クラスやチームは一致団結箚せ易くなる。
 ここでも、親の出番はないが、転校させたり引っ越したりで環境は変えられる。

12章 大人になるということ
 都市以外の同じ年齢の子どもが少ない集団は思春期がない。
 現在の日本では子ども⇔思春期⇔大人とカテゴリーが分かれ、思春期に所属する集団のアイデンティティーに左右される(その集団が喫煙していると親とは関係なく喫煙を試す可能性が高い、なぜなら、仲間がみんな喫煙しているからで、その後習慣化するかはDNAに依る部分もある)

13章 機能不全家族と問題を起こす子どもたち
 ひとり親の子どもが社会性を身に着けにくくなる原因は収入が大幅に下がり住む地域が限定されてしまうことや、再婚などで引っ越しが多くなり、その度に子どもが新しい集団で行動規範がリセットされ最下層から這い上がらなければならない事は社会性を学ぶには厳しい状態となる。
逆に言えば、子どもを同じ社会集団に所属させれば社会性を身につける不利は減らせる。

 勿論、それが守られたからと言って家庭では何をしても許されるわけではない。節度ある子育てをしよう!

大学生に大学入学以前の自分史の中に「何があなたを最も不幸にしましたか?」という質問に答えてもらうと、親の好ましくない扱い方や態度が 9%、仲間からの邪険な扱いはなんと37%と4倍以上です。この事からも集団での出来事がより重要だと感じさせられます。

14章 親にできること
 いじめを受けた子どもに転校を勧める理由は、転校によって集団での位置は最下位に落ちるが、いじめを受けている時点で最下位なので集団での生活がより悪くなる事がないため。
 出生順位による違いは、成人向け性格テストでは現れない。もちろん家庭内では違うだろうが、社会に出てしまえば出生順位の相関はない。
 遊び友達としての親というのは現代に始まったことでそれ以前は親が子どもを制していた。親子が共に楽しめないなら無理することはない。
 家庭内を幸せにするのは親が関与できるが家の扉から一歩出た、生きていくための社会性を身につける集団での事は関与が難しい。

15章 裁かれる子育て神話
 自分の社会性における悪いところを親の育て方のせいにしてはならない。
確かに、攻撃性が強い性格だったり、背が低かったり、美人でなかったりして所属集団で低い地位に甘んじるかもしれない。しかし、それは親の育て方が悪いのではない。もちろん、転校が多かったり衣食住が不足すれば不利益になっていくが。

まとめ
 あとがきにもあるのだが、子育ての難しさに直面したらジュディス・リッチ・ハリスの言葉を思い出そう。
「子どもに愛情が必要だから子どもをあいするのではなくて、いとおしいから愛するのだ。彼らと共に過ごせることを楽しもう。自分が教えられることを教てあげればいいのだ。気を楽にもって。
彼らがどう育つかは、あなたの育て方を反映したものではない。彼らを完璧な人間に育て上げることもできなければ、堕落させることもできない。それはあなたが決めることではない。」


もう少し早くこの本に出会いたかった。
早すぎても忘れていたかもしれないけど。


子育ての大誤解〔新版〕下――重要なのは親じゃない (ハヤカワ文庫NF)